この本は書名を超える面白さがある。人間は1人では生きられず、大きな群れをつくる。しかし集団生活はストレスを生む。このジレンマを突破するために「見えないもの」を信じる力、宗教が大きな影響力を持ったという。この本は宗教の枠を超え、人間が社会をつくり暮らすことの根源を解き明かす一冊である。本書は「人と人をいかに結びつけるか」に興味がある人にとっての必読書と言えるだろう。『宗教の起源』という書名から、本書はキリスト教やイスラム教といった個別の宗教の発祥を解き明かすものかのように思われますがそうではない。人類学者であり進化心理学者でもある著者のダンバーは、「ダンバー数」の提唱者として知られる。そのダンバーが宗教に「見えないものの存在を認めている」という共通点を発見し、それが人類の繁栄にどう機能してきたのかを問う。「見えないもの」を信じる力がなぜ必要だったのか。現代人もいかに「見えないもの」を信じているか。宗教という視点から人類の協力や対立の構造までをも明らかにする本書は、実に面白い対話をもたらしてくれそうだ。