問い読では、名著として定着した本と同時に、今後そうなるであろう本を積極的に課題図書としている。そんな今回の「Pick Up Book枠」は、この『拡張生態系』である。今日の世界的な課題は間違いなく地球の持続可能性だ。気候変動問題、環境問題、食料問題など、これらはすべて人類が引き起こしたものであり、それによって地球の持続性が問われるようになってきた。このような課題に対し、人類に何ができるのか? この問いに、著者は「拡張」という概念で応える。一般的に、人間は自然の持つ力を減じてしまうと考えられている。だが、本書は、逆に自然の生態系の持つ力を、人類が介入することで極限まで引き上げようと提唱する。その壮大な発想は、一つの思想である。人類を含めすべての生物は他の生物の存在無くして生きられない。生命のあるところには必ず生態系が生まれ、生物同士の相互作用が繰り広げられる。この生態系の可能性を、いかに人類が科学の力を用いて拡張するか。本書は、要素分解的な科学に加えて、全体という複雑な系の作用を観察する複雑系のアプローチを提唱する。著者の舩橋真俊氏は、複雑系を専門とする物理学者でもあり、同時に生物学者でもある。その知見を活かし生態系を拡張する農法により生産性を140倍にまで高められることを実証した。それらの知見を元に、5年がかりで完成したのが本書だ。問い読プログラムマスターの岩佐が編集を務め、自信を持って勧める未来の古典。