2023年に日本で出版され、話題になった「鈍器本」。著者は、人類学者であり、『負債論』や『ブルシット・ジョブ』の著者であるデヴィッド・グレーバーと考古学者であるデヴィッド・ウェングロウのふたり。内容はサブタイトル「人類史を根本からくつがえす」の通り、これまでの通説をことごとく否定する。人が集団を形成し国家を築くようになるまでの文明の通説に対し、人類は、権力構造を生み出さない工夫もしてきたし、必要に応じて集合と離散を繰り返していたなど、そこには遊びに満ちた選択をしてきた歴史が見て取れる。本書を読むと、人類は想像以上に権力や他者のコントロールを避け、自由な生活を目指そうとしてきたことがわかる。それらを膨大な考古学や人類学の知見を用いて説明する。事例も多く、分量も多い本であり、非常に厄介な一冊だが、人類史の見方が一変すること、そして、どんな「厄介な本」もこれを読むことで克服する自信を持てる一冊。