『サピエンス全史』などの著作で知られるハラリが、人類が情報をどのように扱ってきたかをまとめた最新作。ハラリは情報の本質を、真実か否かを問わず、人々をつなげる役割を担うものと定義する。同時に、人類は情報の誤りを自己修正メカニズムを用いることで担保してきたという。それがネットワークとして機能してきたのが人類の歴史である。では、現在のネットワークには、人間の意志を超えたAIが介在しようとしている。その未来において、我々人類は、AIをどのように使いこなせばいいのか。人類の歴史から発展し、壮大な問いを投げかけてくる。そして情報によってつながった人類が集団で生活する生き物になったという。この視点から、ここから、神話やサブタイトル「意識の誕生と文明の興亡」が内容を示していて、人間が意識を持つようになったのはいつなのか?という問いに答える本なのだ。そもそも、昔の人類は意識を持っていなかったとはにわか信じがたい。同時に、意識を持たない自分が想像できない。こんな疑問を持ちながら読んでみたら、意識が誕生したのは紀元前2000年ごろではないかと書かれている。著者は心理学者だが、そこまで遡って考察できるのは、考古学的な研究と脳科学の知見を取り入れているからだ。ここから本書は意識の正体を明らかにすると同時に、右脳と左脳の役割の違いまで踏まえて、人類の歴史の中で、半ば必然的に意識を持つようになった経緯が書かれている。上下巻に渡る本書は、さすがハラリと唸らせる書きっぷりである。石器時代の話から、中世のキリスト教の話、そして近年のSNSのアルゴリズムが招いた悲劇まで、縦横無尽に語られる。現在最も課題となるAIの存在を長い時間軸から考えることができる一冊。