「テクノロジー版の『種の起源』」と言われる本書。人間を主語とするのではなく、「テクノロジーは何を求めているのか」という予想を超えるテーマを掲げている。著者は、デジタルカルチャーを象徴する雑誌『Wired』を創刊したK・ケリー。そもそもテクノロジーとは何かを問い直そうと、著者は、人類がテクノロジーを生み出した石器時代から考察を始める。そしてテクノロジー自体を1つの生態系のような存在と捉え、それを「テクニウム」と表現し、考察したのが本書だ。AIの進歩が加速する現代において、生物学や物理学、歴史など壮大かつあらゆる分野を越境して思考する本書は、読む人の既成概念を壊すほどのインパクトがある。この本が10年以上前に出版されていたのも驚きだ。 本書の奥深さは、著者の人柄にもある。最終的にはテクノロジー推進派の立場を取りつつも、懐疑的な人の話を聞き、ときに共に住む。常に手を動かしながら、まさに身体全体を使って思考する。抽象的な議論と、具体的な手触りを往復する本という点でも非常に個性的な一冊である。