ビジネスの分野でこれほど長く、そして時代を超えて読まれた本は数少ない。1984年に刊行された本書は、第二次世界大戦における失敗の要因に焦点を当てつつも、組織が判断を誤る普遍的な要因を集約したかのような内容となっている。本書では、6つの失敗した戦略が紹介される。それぞれの失敗に個別の要因があったのだが、これらは、現在の企業が抱える組織の危うさと瓜二つである。これこそが、本書がこれだけ長く読み継がれてきた理由だ。累計発行部数はなんと100万部を超えたという。著者は、軍事や組織論の専門家6人。その中のお一人は、のちに『知識創造企業』などで日本の経営学を牽引した、故野中郁次郎氏である。野中氏が後に語る成功する企業の要因は、本書の内容が反映されていたと思われる。今日でも組織の課題は常に共通した要素に収斂される。集団浅慮、同調圧力、あるいは視野狭窄など。これらはどれも本書でも紹介されており、いわば集団としての日本人論を語る上でも欠かせない一冊となっている。「知っているけど読んだことはない」そんな人こそ複数の視点から日本人について考えてみるのはいかがだろうか。