サブタイトル「意識の誕生と文明の興亡」が内容をよく示している。本書は人間が意識を持つようになったのはいつなのか?という問いに答える本なのだ。そもそも、昔の人類は意識を持っていなかったとは、にわかに信じがたい。同時に、意識を持たない自分が想像できない。こんな疑問を持ちながら読んでみたら、意識が誕生したのは紀元前2000年ごろではないかと書かれている。著者は心理学者だが、そこまで遡って考察できるのは、考古学的な研究と脳科学の知見を取り入れているからだ。ここから本書は意識の正体を明らかにすると同時に、右脳と左脳の役割の違いまで踏まえて、人類の歴史の中で、半ば必然的に意識を持つようになった経緯が書かれている。本書は600頁を超す。途中、考古学的な細かな記述もあり忍耐も必要な本だが、これまでそれこそ意識しなかった「意識」について、否応なしに考えさせられる。意識と意思は別物なのか? 意識は知性の一部なのか、それとも感覚なのか? こうした考えもしなかった当たり前の前提を覆すような問いについて考え、やがて人類の意識は今後どうなるのか?と思いを馳せる。